イタリア語ならグランツーリスモ、英語ならグランドツーリング。GTとは「長距離を快適に移動することができる、高性能な乗用車」という意味だ。
そのGTを名乗るクルマは数あれど、半世紀以上にわたって名乗り続けるクルマはごくわずか。
日本においてはスカイライン以外には存在しない。いつの時代も最先端のメカニズムとテクノロジーを惜しみなく投入し、技術の日産がプライドを賭けて時代をリードし続けてきた特別なクルマ、それが「スカイラインGT」。歴代それぞれのモデルには現在も多くのファンが存在し、旧車、中古車となっても、いっそうの輝きを放つ。
もしかしたら、長く乗り続けられることも、GTの資質のひとつなのかもしれない。日産スカイライン。あなたも、その「GT」の色褪せない魅力を体感してみてはどうか。
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2代目 GT誕生「エス・ゴーヨン」1964年S50系
★羊の皮を被った狼「スカイライン2000GT」の誕生!
1964年、レース参戦のために4気筒エンジンの第2世代(S50系)スカイラインのノーズを200ミリ延長してG7型直列6気筒エンジンを搭載。限定発売という形で初代「スカイラインGT」が誕生した。翌年の1965年にはカタログモデルとして「スカイライン2000GT」が登場。サーキットユースを意識した2000GT-Bと、GTとしての快適性と扱いやすさを高めた2000GT-Aが用意された。それぞれ取り付けられたGTバッチ(エンブレム)は、前者が青、後者が赤。なお、2000GTは型式がS54となったことから、2000GT-Bが「エス・ゴーヨンビー」、2000GT-A「エス・ゴーヨンエー」と呼ばれる。
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3代目 「ハコスカ」1968年 C10系
★伝説となる2000GT-Rの登場!
今も不動の人気を誇るハコスカ。1968年、日産製のL型直列6気筒エンジンを搭載し、2代目の2000GTとしてGC10型が登場。そして翌年の1969年には、レーシングエンジン開発のノウハウを注ぎ込み、直列6気筒、DOHC24バルブという高性能なS20型エンジンを搭載した2000GT-Rが誕生。その実力はレースで遺憾無く発揮され、49連勝という偉業を達成した。1970年にはスカイライン初となるスタイリッシュなハードトップボディが追加され、GTとしての魅力がいっそう高まった。このモデルは、当時の広告のキャッチコピーから「愛のスカイライン」、後にファンからは「ハコスカ」の愛称で呼ばれ、今も親しまれている。
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4代目 「ケンメリ」1972年 C110系
★ハードトップが「ケンメリ」、4ドアセダンは…「ヨンメリ」!
1972年、GC110型にフルモデルチェンしたスカイライン2000GT。スカイラインとしてはハードトップ、セダン、ワゴン、そしてバンというワイドバリエーションなボディが展開されたが、直列6気筒を搭載するGTシリーズにはセダンとハードトップが用意された。また、GTを特徴付ける外観としてはロングノーズの他、初代S50系GT以来となる丸型テールランプが2灯式となって復活。この「丸型2灯テール」は、スカGならではのアイコンとしてこの後長く続くことになる。当初は高性能モデルの2000GT-Rも用意されたが、環境対策が必至となり、わずか4ヶ月の生産で姿を消すことになる。広告のキャッチコピーは「ケンとメリーのスカイライン」。
「7th・セブンス」1985年 R31系
★ハイテク投入。そして1世代限りの4ドアハードトップが存在した「セブンス」
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1985年、第7世代のスカイラインとなったR31型、通称「セブンス・スカイライン」が登場した。
ボディスタイルは発売当初がセダン、そしてスカイライン初となった4ドアハードトップ、さらに翌年の1986年には「GTSスポーツクーペ」として2ドアクーペ、そしてワゴンが用意された。
GTシリーズのエンジンは長きにわたって使われたL型エンジンから、RB型に変更。
高性能バージョンには直列6気筒、DOHC24バルブ(各気筒あたり4バルブ)ターボエンジンが用意された。 -
当時のハイテクが惜しみなく投入され、世界初となるHICAS、GTオートスポイラー採用など、「より快適でストレスが少なくスポーティな走行が楽める」数々のスペックを備えたセブンスは、新世代GTとしての新たなる1歩を踏み出したモデルともいえるのでは?
- RB系エンジンの新採用
- 先進の4輪操舵技術「HICAS」の採用
- カードレントリーシステムの採用
- 4ドアハードトップボディが登場
- ドアクーペボディ、ワゴンボディの追加
- ラグジュアリーグレードとして「GT PASSAGE」が登場
- スポーツグレードとして「GTS」が登場
- GTオートスポイラーの採用
- プロジェクターヘッドランプの採用
- グループAレース参戦を目的とした特別限定車「GTS-R」が登場
「Rサンニー」1989年 R32系
★GTシリーズは「GTS」に。そして帰ってきたGT-R!
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「P901活動」という言葉を耳にしたことがあるだろうか?
これは90年代に走行性能で世界ナンバーワンを目指すというプロジェクト。
1989年に登場したR32型は、まさにそれを具体化した走行性能を備えていた。
用意されたボディは「4ドアスポーツセダン」と「2ドアスポーツクーペ」のみ。
GTシリーズはすべて「GTS」となり、そのすべてのグレード、さらには4気筒エンジンのGXシリーズに乗っても素晴らしいハンドリングが味わえる、スポーツ性を高めたスカイラインとなっていた。
そして何と言ってもこの世代の最大の特徴は、GT-Rの復活である。 -
RB26DETT型直列6気筒DOHC24バルブツインターボエンジンを搭載し、最先端の4WDシステム「アテーサE-TS」が与えられたこのGT-Rは、当時のクルマ好きはもちろんのこと、多くのプロドライバーの想像さえも超えたポテンシャルを誇った。
- 先代とくらべシェイプアップされたボディ
- GTシリーズは「GTS」とされる
- GTシリーズは「GTS」とされる
- 最先端の4WDシステム「アテーサE-TS」の採用
- スカイラインGT-Rの復活
- 「GTS」にRB25DE型(直列6気筒・DOHC)2.5Lエンジンの追加
通称「Rサンヨン」 1998年-2002年 R34系
★直6エンジン最後の「スカG」
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R32型以降、「GTS」とされていたGTグレードが「GT」に回帰したのがこのモデル。
GT伝統の直6エンジンはいっそう力強い「NEOストレート6」へと進化し、25GT-tに搭載されるRB25DETエンジンは280馬力を発生。
そのパワーをFRで受け止めるため、ボディも徹底的に鍛え上げられた。
ひと世代前のモデル(R33系)で少し大きくなったボディをコンパクト化し、ホイールベースも2.6メートル台(R32までの歴代スカイラインGTシリーズのホイールベースはずっと2.6メートル台だった)に戻して、キレ味のいい走りにこだわったのも、R34型の特徴となっている。 -
そして、さらなるパフォーマンスを身につけて登場したBNR34型GT-Rは、「スカイラインGT-R」としての最後を飾るにふさわしいアグレッシブなモデルとなった。
R34の在庫を検索する
このR34系を最後に直列6気筒エンジンは姿を消し、スカイラインGTとGT-Rはそれぞれの別の道を歩むことになる。
- クーペボディに「サーフィンライン」が復活
- R32型以降、「GTS」とされていたGTグレードが「GT」に回帰
- 「ドライビングボディ」を謳う極めて高いボディ剛性を実現
- GT-Rに初の6MTを採用
- スカイラインGT-Rの復活
- GT-Rに世界初のカーボンボンネットを採用
「Vサンゴー」2001年 V35系
★全てが新しくなった、21世紀のグランドツーリングカー
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R34型までのスカイラインは、基本的に日本国内専用モデルとして存在していたが、21世紀に入って登場したV35型スカイラインからは、世界を視野に入れたグランドツーリングカーとして生まれ変わった。
新世代のVQ型・V型6気筒エンジンを新世代のFM(フロント・ミッドシップ)プラットフォームに搭載。
ホイールベースは一気に2850ミリとなり、プレミムクラスのパフォーマンスと居住性を実現している。 -
当初セダンボディのみで登場したV35だったが、2003年にはスタイリッシュな2ドアクーペが追加された。海外では「インフィニティG35」として発売され、大ヒットを記録。全てが新しくなって、21世紀の「GT」の歴史がここにスタートした。
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●スカイライン初となるV型6気筒エンジンを搭載 ●VQ25DD型、VQ30DD型直噴エンジンに、電磁式連続可変バルブタイミングコントロールシステムを採用
●スカイライン史上最大排気量となる3.5LのVQ35DEエンジンを追加投入 ●先進のエクストロイドCVTの採用 ●スカイラインGTとして初の6MTを採用
「Vサンロク」2006年 V36系
★セダンもクーペもプレミアム。高級GTとして歩み始めたスカイライン
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日産がスカイラインのグランドツーリングカーとしての性能にさらなる磨きをかけ、海外のプレミアムクラスのライバル達に真っ向から挑んだ意欲作が、このV36型だ。
その走りの質感と快適性は、「乗ればすぐにわかる」。申し分のないほどのエンジンパワー、とびきり精緻なハンドリング、静かなキャビン、常に感じられる高いボディ剛性……。どれをとっても世界レベルで戦えるGTのスペックである。
しかも、多くのクルマがFF化する中、スカイラインは基本ずっとFR(フロントエンジン・リアドライブ)を守り続けている。 -
4WDも用意されるが、FRベースのアテーサE-TSはめったなことではフロントに駆動力がかからない。だから、かつてスカイラインの父と呼ばれた櫻井眞一郎の「後ろ足で蹴って進む」後輪駆動ならではの感覚が今も味わえる。もちろん、スカイライン初のSUVとなったクロスオーバー(J50型)でもそれは健在だ。
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- V型6気筒エンジンを大幅変更。型式はVQ25HR、VQ35HRとなる
- サスペンションを前・ダブルウィッシュボーン、後・マルチリンクに変更
- 世界初の4輪アクティブステアの採用
- スカイライン史上最大排気量となる3.7LのVQ37VHRを追加投入
「Vサンナナ」2013年 V37系
★蘇る伝統のスタイルと、秘められた先進技術の数々
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直6エンジン時代のスカイラインGT伝統のプロポーションは「ロングノーズ&ショートデッキ」。そして「ハコスカ」から「ジャパン」まで3世代続いたサーフィンライン。
2013年に登場したV37型では、そのスカイラインならではの特徴をさらに昇華させ、今に蘇らせている。
「世界最速のハイブリッド」を目指して開発されたVQ35HR型エンジンにHM34型モーターを組み合わせたパワーユニットは、圧倒的な加速力とクラストップレベルの燃費を実現。
後に追加された274A型ダウンサイジングターボエンジンは、2.0Lながらノンターボ3.5L並みの高トルクを発揮。 -
どちらを選んでも、新時代のパワーフィールが味わえる。そして「ダイレクトアダプティブステアリング」や「全方位運転支援システム」など、数々の先進技術も惜しみなく投入された「Vサンナナ」。スカイラインGTの名に「走りの良さ」をイメージする方の期待を裏切らない、日産が現代に誇るプレミアムスポーツセダンだ。
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- スカイライン初のハイブリッドシステムを搭載
- 「RSターボ」以来となる2.0Lの直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載
- 世界初のダイレクトアダプティブステアリングを採用
- 世界初のアクティブレーンコントロールを採用
- 全方位運転支援システムを全グレードに採用
- 大画面ツインディスプレイの採用
- カスタマイズ可能なドライブモードセレクターの採用